1995年の7月1日、1ヶ月後にソニー生命に入社する私は、生保セールスとして食っていくための準備を開始しました。
何をしたかって?
マーケティングプランの作成に決まってますよ。
全世界のすべての商品・サービスにおいて、それがなかったら絶対に売れないのですから。
ただし、どう考え、どうプランを作れば良いかはわかっていましたが、営業経験ゼロ、顧客と電話で喋ったことすらない私には、現場のことは何もわかりません。
だから、空欄だらけの企画書が出来上がりました。でも、会社に行って1ヶ月間の研修を受ければ、空欄はすべて埋まると、当然のごとく思いました。
ところがっっっ!!!
会社のセールスマニュアルを見ても、空欄は一箇所も埋まらない!
一箇所も!・・・ですよ。
そもそも、企画書の本編第1章に出てくるべき「ターゲット」という言葉が、マニュアルの最初から最後まで見ても、1回も出て来ない!
「・・・ナンジャコリャ? アホの集団用のひらがな教科書? それとも幼稚園の絵本?」としか思えませんでした。
で、研修の休憩時間中に、タバコを吸いに席に戻ったら、2つ隣の席の先輩が、私にこう言ったんですよ。
「五十田さん・・・五十田さんはマーケティングプランナーだから心配ないと思うけど・・・その本・・・クソでしょ?」
「いや~、驚きました。ホント、クソですね」
「マーケティングプランナーから見たら、明らかにクソでしょ。でもね、それを信じちゃって死にそうなヤツらが(と、周りを見回して)・・いっぱいなんですよ~。おっそろしいね~」。
その人は後に所長になり、16年にわたって最優秀営業所の地位を保持し続け、支社長になった途端に2位の支社の約2倍の売り上げを挙げた人ですよ。
つまり、「理論とは真逆の、あなたを売れなくし、不幸にする、間違った会社の教え」と、それを「クソ」と言い切る人とでは、それほどの違いが生じるということです。
で、ただ「クソ」と言っていても、どこがクソなのかわからない人も多いでしょうから、今読んでいる「実践ダイレクト・マーケティング」という「クソ分厚い」本から、とっても役に立つ部分を引用します。
著者のドレイトン・バードという人は、「マーケティング界の、世界の50人」に選出された、この業界の超大御所の一人です。
【テストが明らかにした名簿選択の重要性】
ダイレクトメールの他の要素と比較して、名簿の役割がよく表れているのが、我々が数年前にクライアントのために行ったいくつかのテスト結果である。
そのダイレクトメールは、有望と思われる12の名簿に送られた。また、3種類の価格、2種類の支払い方法、発送時期の違い、反応方法の選択肢、いくつかの広告としての表現などもテストした。これらすべての要素の最高の組み合わせには、最低の組み合わせの58倍の反応があった。テストにおいてずば抜けて重要であることがわかった要素は、名簿の選択であったことは、以下の大まかな数字でもわかるだろう。
<典型的なダイレクトメールテストの結果>
(三洞註:テストにおける「要素」と、最高と最低の差が示されている)
●名簿・・・6倍
●オファー・・・3倍
●タイミング・・・2倍
●クリエイティブ(広告表現)・・・1.35倍
●反応方法・・・1.2倍
(中略)あなたは上記のテスト結果を見ただけで、名簿の役割はビジネスに必須であると判断できただろう。
一昨日のセミナー後の懇親会で、「三洞さんのマーケティングレターは、ものすごく役に立つ。本を読んでも、内容や言いたいことがよくわからない和訳が多いけど、三洞さんが生保セールス用に翻訳してくれると、はっきりと理解できるし、三洞さんの翻訳で、真逆の勘違いをしていたことにも気付いた」というような賛辞をいただきました。
ものすご~~~く嬉しかったです。
なぜなら、この前も書いたけど、登録してタダ読みだけして、決済処理をしないタワケ者が予想以上に多かったから。
自分がそういうことをやって、他人に自分の商品が売れるはずがないという「人としての原理原則」がわかっていない人は、間違いなく廃業ですよ。
で、上記の引用も、翻訳がとっても必要だな~と、引用していて感じましたので、まずは解説をします。
上記はダイレクトメールのテスト結果ですが、生保セールスも一緒なので、翻訳しますよ。
1、名簿
「誰に喋るのか?」=ターゲット
2、オファー
「今なら無料で、この冊子を差し上げます」または、アプローチトーク(初対面の挨拶の直後の、最初の一言)そのもの。
3、タイミング
DMなら「何月に送るか?」
メルマガなら「何曜日の何時に配信するか」
直接の個人面談の場合は、自分と相手の都合なので、さほど関係はない。
4、クリエイティブ
生保セールスの場合、「プロフィールシートのタイトル」と「セールスシートのキャッチ(最上部の書き出し)部分。及び、シートの美しさ。
5、反応方法
問い合わせ、あるいは申し込み方法のこと。電話、メール、申し込みフォーム、LINE、Messenger、FAXなど。
で、これらの要素を変え、組み合わせを変えてテストをしたところ、「名簿」(=誰に喋るのか)・・・つまりは「ターゲット設定」こそが、売り上げに最も大きな影響をもたらすのだ!(6倍もの差が生じる!)・・・ということが、テスト結果として明らかになったよ・・・ということが書いてあるのです。
別のテスト結果ですが、私の10時間セミナのレジュメには、こう書いてあります。
セールスに失敗する原因は、セールスの最初ではなく、最初にある。
失敗する原因の上位3つは・・・
1、話す相手を間違っている
2、「見た目」にインパクトがない
3、アプローチトークが魅力的でない
「セールスに失敗する原因は、セールスの最初ではなく、最初にある」ということは、この本にも書いてあったし、つい先日届いたダン・ケネディのマーケティングレターにも書いてあって、それはビジネスの「常識」。
でも、こんなことすら、アホなくせに不勉強な指導者は知らないのです。
そして、当然のごとく、ここでも「ターゲット設定こそが最重要ポイントである」という「真理」が導き出されている・・・。
それなのに、会社の販売マニュアルには、ターゲットの「タの字」も出て来ない!
そんなマニュアルは、どう考えても「クソ」と表現するしかないのです。
だからね、ターゲット設定なしのビジネスなんてのは成立するはずがありません。
また、ターゲット設定が甘かったら、ほんの少ししか売れません。
この前、メールで、「私のターゲットは〇〇(5文字だった)ですが、ターゲット設定って、そういうことで合っていますか?」という質問が来たけど、その人がどんな人なのかは不明ながら、「間違っています」と断言できます。
もちろんそれは「教わっていないから」間違っているのであって、その方がダメだとは決して思っていませんよ。
今、これを読んで、「自分はターゲット設定ができていない」と思っている方を含め、分かりやすい目安を書いておくと、文字数は400文字以上です。それ以下だったら「ターゲット設定が甘い」になります。
そして、上記引用文から認識すべき、もっと基本的なこと・・・それは、
●「ターゲット設定こそがビジネスの第一歩」であり、「ターゲット設定が、売り上げに最も大きな影響を与える」といった「数多くの基本理論」を知り、
●その上で、「要素」には何があるかを知り、
●それを「テスト」して、「結果」「数字」に基づいて、自分のマーケティングプランとセールスシステを構築する。
このレベルで、ようやく「ビジネス」と呼べるのです。
「もっと!」「頑張れ!」「活動量!」とか、「使命」「やりがい」「ありがとうと言ってもらいたい」なんてのは、ガキの遊びレベル。
到底、ビジネスと呼べるレベルではありません。
そして、そんなレベルで仕事をしている人が食えないのは、当然のことなのです。
ということで、今日はここでおしまいにします。
もっと書きたいことがあったけど、倍以上の量になっちゃうから、続きはまた近々に書きます。
お楽しみに!