お役に立つ? それ、どういうこと?

生命保険営業の本質!

もう15年ほども前のことになるでしょうか。

当時、私はまだソニー生命のセールスマンでしたが、セミナー講師をさせていただいたことがあります。
どんな主旨の会で、どんなテーマだったかは忘れてしまいましたが、証券会社や銀行の、社会人になって間もない人がたくさん参加していました。

2部構成のセミナーで、まず最初に司会の人が、参加者に発表させたんですね。
「今、仕事で何を望んでいるか」みたいなことを聞いたんです。
そうしたら、半分ぐらいの若い衆が、「私も同じなんですが、1日も早く、お客様のお役に立てるようになりたいと思って・・・」みたいなセリフを口にしたのです。

私、「こいつら、アホか!」と思いました。
大体、キモいですよ。

だから、私が喋る第2部では、予定を変更して、冒頭、それについて喋ったんですね。
「キモイよ、お前ら」なんてひどいことは言いませんでしたが、「はっきり言って、非常に不自然さを感じた」と言いました。
だって、自分の言葉じゃないですもん。
「若いのに、なんでもっと自分の言葉で喋れないの?」って。

「仕事ができるって言われるようになりたい」とか、「早く1人で仕事を任せてもらえるようになりたい」とか、「バリバリやって、同期の中で一番になりたい」とか、そういう言葉が普通じゃないの?
それが、揃いも揃って、「早くお客様のお役に立てるように」ですよ。

このどこが問題なのかと言うと、自分の頭で考えられなくなってるワケですよ。
しかも、「お役に立つ」の具体的な内容がないしね。
要するに、日々会社で言われていることを、前の人が言ったから、自分も同じセリフを口にしちゃう・・・。

「思考がそうなっちゃうと、ストレスが増えるばっかりだよ」(書いていて思い出したけど、ストレス減少の方法についての話をした)と言ったことを、先日、思い出したのです。


なぜ思い出したのか。
それは、「生保セール・マニフェスト」のアンケートの回答に、まさにその言葉がたくさんあったから。
「お客様のお役に立てるようにといつも願っているのですが・・・」みたいな言葉ですよ。

そういうことを言う会社が特に多い業界だから、洗脳されちゃっているのでしょうけど・・・

はっきり言いますよ!
そんなこと言ってたら、売れませんからね!
ストレスもいっぱい発生しちゃいますよ。


私がこうして書くのですから、はっきりとした理由があります。
理由は3つ。
簡潔に書きます。詳細に書こうとしたら、全10回シリーズでも書ききれないので、それは「生保セール・マニフェスト」に書きます。

理由の1つ目。
ビジネスの本質とズレた言葉だから。

そもそも役に立たない商品は、市場からすぐに自然淘汰されるのです。
米国シリコンバレーの調査によれば、1年間でなくなる「新商品」は、全体の98.3%。
つまり、世の中に定着している商品やサービスは、役に立つから存在できているのであり、役に立って当たり前なのです。
これが市場原理であり、ビジネスの原理原則。
だから、「お役に立つ」なんて言葉に違和感を感じないのは、自分の行っているビジネスについて、本質的に誤解しちゃってる・・・だから売れなくなっちゃうのも当然なのです。

理由の2つ目。
この言葉が、「顧客視点」ではないから。

お客様は、自分の都合で、自分のニーズに合わせて、数えきれないほどたくさんある商品やサービスの中から、生命保険という金融商品をたまたま選択し、購入しているだけなのです。
だから、いくら「役に立ちますよ!」って連呼したって、お客様は商品やサービスを買ってはくれません。
だって、すべての商品やサービスが「役に立つから存在している」のだから。

単に「お役に立つ」なんてのは、明らかな「会社言葉」なのですよ。
お客様から見たら、いつ役に立つのかわからない生命保険なんて、日々の生活の中では「最も役に立たないのに金ばっかり取られるもの」なのです。
これが顧客視点でしょ? 皮肉でも悪口でも自己卑下でも何でもなく、単なる事実ですよ。

顧客視点に立って、その人が抱える課題を、具体的にどう解決するのかを提示できた結果が「売れた」「契約!」です。
対して「お役に立つ」などという、雑駁で理論もスキルもない言葉は、顧客の意識とは大いなる乖離がある・・・だから売れなくなっちゃうのです。

理由の3つ目
ストレスを発生させるから。

15年前に言ったのと同様、自分の頭で考えられなくなっちゃってるから、「売れない教え」ばっかり教える会社の言葉に毒されちゃう。
セミナーでは「頭の中から完全に除去、消毒せよ!」と言っていますが、それは「売れない教え」のせいで売れなくなっちゃっている人が大半だから。

「お役に立つ」なんて言葉は、その典型ですからね。だからヤバいのですよ。

自分の頭で考えられなくなればなるほど、ストレスは多く発生します。
あなたが日々を楽しく生きるのか、ストレス多く生きるのか・・・その違いはあなたが日々使う「言葉」なのです。
素直に「もっと売りたい」「もっと売って収入を増やしたい」と自分の言葉で語れなければ、その分、ストレスがたくさん発生してしまうのです。


以上、まあ、簡潔過ぎるのでわかりにくいかもしれませんが、役に立つのは、商品として何百年も存在している以上、当たり前。
どんな商品だって・・・ミネラルウォーターだって、水道水飲めばイイのに存在してるってことは、しっかり役に立っているのですよ。
だから、そんなことを殊更に口にする人を見ると、違和感を感じるのは、ごくごく当然のことなのです。
コンビニの店員が、ミネラルウォーター売って、「お役に立てた」って言ったら不自然ですよ。それと同じです。

特に、生命保険業界の常識は、世間の非常識・・・ってこと、よくありますからね。
そういうものの集大成が「あなたを売れなくする、理論とは真逆の、間違った教え」なのですよ。
「お役に立つ」などという言葉は、「生命保険だけは別」という、理論不在の真逆の思考と直接的に通じちゃってますからね。
だから、使うとヤバいのです。

「保険金をお支払できた!」ってことが美談のように語られる会社ほど、保険金支払率も、支払額も極端に低い・・・ってことは、そういう会社に所属していない人なら、誰でもご存知ですよね。
それと似てません?
役に立たないから(=売れないから)、「お役に立つ」なんて言葉を使っちゃうケース、私のようにちょっと外から冷静に見ていると、実はとっても多いのです。

素直に「いっぱい売る!」って明るく言った方がイイと思うけどな~。
いっぱい売れば、いっぱい役に立っているってことなのですから。

<補足>
そもそもお客様に大損害を与えてしまう商品を売っている会社の人の場合、いっぱい売ったらいっぱい損害を与ることになりますので、上記の言葉を励みにいっぱい売るなんてことはしないで下さい。勘違いなきように。