売れる・売れないの分岐点

生命保険営業の本質!

読みたいのに読んでいない本がどんどん増えて行くばかりなのですが、先日、ちょっと引用のために手元に置いたこの本、あまりにも役に立つので、また読み返しちゃってます。

「クロージングの心理技術21」ドルー・エリック・ホイットマン

全編にわたって「なぜそうなのか?」が分かりやすい言葉で書かれていて、こういうのを読むと、「量だ・数だ」しか言わない超低レベルの教えが、この日本において、今になっても横行しているのか、ワケがわかりません。

・・それで金貰ってる人間がたくさん居るなんて、信じられないです。

で、この本の、具体的な「21のテクニック」が出て来る前の序章が「消費者心理学とは何か~見込み客の脳を解剖する」というタイトル。
難しそうなタイトルですが、書いてあることは実に平明です。
結局、全編にわたって「売るためにどうするか」しか書かれていないから、売るのが仕事である私たちにとっては、本来、こういうことを日々考えていなければならないし、それが「仕事」なのです。

この章に、こんな一節が出て来ます。

~~~~~
・・脳の中で起きて行動へと向かう3段階のシンプルな欲求の流れを挙げよう。
それは常に次のような経路をたどる。

(1)ストレスが起きる
(2)欲求が高まる
(3)欲求を満足させるための行動を起こす

 消費者の欲求に訴えるとき、あなたは常に心理学の列車に乗せてもらっている。欲求をできるだけ早く満足させるための行動へ向かって疾走する心理学の列車だ。
 ストレスを引き起こすことができるのは積極的で“明確な”言葉だ
 (中略)
 ここでのポイントは、言葉を選ぶだけで様々な欲求のレベルを生み出すことができるということだ。どうやったら最大限に効果のある話し方ができるかについては「ブレインスクリプト2」で詳しく述べることにする。
~~~~~

上記引用文の中の「積極的で“明確な”言葉だ」は、本でも太字になっています。21のテクニックの具体的な話の前に「まずはここをしっかりと認識しなさいよ!」ということですね。

私の無料動画(2)で言っているように、マーケティングとは「市場に働きかけて需要を喚起すること」。
この「需要の喚起」を行うから、上記(1)ストレスが起きるわけです。

さらにドラッガー先生になると、マーケティングとは「セールスを不要にすること」。こっちから売り込むのではなく、上記(3)まで短時間でたどり着けということですよ。

でね、著者は、上記1~3のためには「積極的で“明確な”言葉」が必要だと言っている。
そのポイントは「言葉を選ぶ」こと。
言葉によって、欲求のレベルが全然違って来るということを、具体的なテクニックの前に、まず認識する必要があるのです。

さて、その「言葉」。

セミナーでは「セールスに失敗する原因は、セールスの最後ではなく最初にある」と言っています。
ダン・ケネディの言葉ですが、大先生たちの誰もが同じことを言います。

つまり、最初に発する言葉(セミナーでは「アプローチトーク」。会社によって、OIとかファーストインタビューとか、言い方は変わりますが、要するに、挨拶の次にあなたが発する言葉)を「どう選ぶ」かで、欲求のレベルは大きく変わるし、要するにそこが「売れる・売れない」の大きな分岐点になる・・と言うことになります。

プロレベルだと、その「言葉」が、理論に基づいて21×10=210通りぐらいのパターンから精査・選択される。
だから、ストレスを起こし、欲求を高め、相手に行動を起こさせることができる。

◆ストレスを起こし・・「この人の話を聞かないとヤバイ」
◆欲求を高め・・「この人の話の続き(プレゼンテーション)を聞きたい」
◆行動を起こす・・契約する

という、わかりやすい流れになる。
その流れを作るべく、「積極的で“明確な”言葉」を準備する・・それが私たちの「仕事」なのです。

ところが!

最初の言葉が、理論不在の、何~~~も考えていない「会社が教える売れない言葉」・・一番わかりやすい例をあげると「保険の話を聞いていただけませんか?」だと、これが真逆になっちゃう。

「保険の話を聞いていただけませんか?」

→ストレスを起こし・・「うわっ、出た、保険屋! ウザッ!」
→欲求を高め・・「何とかしてこの場から逃れたい」
→行動を起こす・・やんわりと断り文句を並べる、きっぱり断る、無視する

こうして、まさに「セールスに失敗する原因は、セールスの最後ではなく最初にある」の通り、最初から「真逆の反応」を起こさせてしまう=「売れない」に行きつかざるを得ないのです。

これが「量・数」のセールスなんですよ。
断られるのが前提だから、たくさんやってたくさん断られないと、なかなか「幸運」には巡り会えない。
・・宝くじをたくさん買うのと、何ら変わりません。

お客様から見た「商品」は、目の前にいるあなたの見た目と、あなたが発する「言葉」しかありません。
あなたの頭の中にどんな思考があろうと、あなたのバックがどんな会社であろうと、お客様から見えるものは「目の前にいるあなたの見た目と言葉」だけなのです。

その「言葉」が、理論なき、陳腐で、ありきたりのものであれば、それは「商品が悪い」ということ。
商品が悪いのなら、買ってくれないのは当然のこと。

私たちが言葉について考えるのは、イチローが毎日素振りをするのと同じです。
考えなかったら、絶対にプロレベルにはなれません。
そしてそれを正しく考えるための理論がなかったら、考えることすらできないのだということを、どうかしっかりと認識して下さい。