「クロージング」は、してはいけない!

生命保険営業の本質!

生命保険セールスに従事するほとんどの方が、「クロージング」という作業を不可欠なものだと思っています。

ですよね?
なぜなら、会社でそう教わったから。



私も生命保険セールスになった時、

1、アプローチ
2、ファクトファインディング
3、プレゼンテーション
4、クロージング
5、成約
6、紹介入手

と教わりました。

しかし!

マーケティングプランナーであった私にとっては、最初から「ダメだろ、これは!」でした。
理論を知っている人からすれば、「クロージング」という作業など、あり得ません。
当然、即座に、「私はクロージングはナシで行こう」と決めました。

だから、20年間のセールス生活において、一度も「クロージング」をしたことはありません。

理由は簡単。
自分の頭で、素直に考えれば明白です。

「クロージング」という作業は、

●私もやりたくない
●お客様もやられたくない

双方がイヤなことをセールスの過程に持ち込むと、不都合が生じます。
つまり、生保セールスビジネスにおいては、「やってはいけないこと」なのです。

やってはいけないことをやると、どうなるか?

利益が減ります。

これは、どんなビジネスでも共通です。
生命保険セールスだけが例外ということなど、あり得ません。

私は、マーケティング理論に基いて、自分の頭で素直に考えたから、即座にそれに気付きました。
でも、「クロージングというステップがある」と教わって、自分の頭で考えることなしにそれを鵜呑みにしてしまう人が大半・・・だから、楽しく、コンスタントに売れない人がたくさんいるのです。

「クロージングはナシ」と決めたからこそ、プレゼンテーション直後に契約になることを「成功」と定義し、そうなることが当然だと思えるようになりました。
だからこそ、週3日の営業で、300週間連続の契約が獲得できたのです。

短期コンテストでいつも入賞できていたのも、クロージングをしなかったおかげです。

「プレゼンテーション直後に契約になるのが当然」と言っても、直後に決まらないケースも当然あります。
そのほとんどが、「一応、家内の了解を得てから」と言われ(常にご主人様一人に対してプレゼンテーションしていました)、「では、今日が金曜日ですから、週末に奥様にお話いただくとして・・・月曜の11時に会社にお電話するということで、よろしいですか?」という電話のアポイントを入れたにも関わらず(電話嫌いの私は、電話の予定もきちんと決めていました。そうすれば苦痛少なく電話できますので)、急な用事で外出して不在だった、週末に奥様と話せなかったというケースです。

その場合、以降は、私からは電話しません。
不在なら「お電話下さい」の伝言を残すか、奥様と話ができていないなら、「では、決まったら連絡下さい」と言うだけです。
そして、そのまま電話がない・・・。

まあ、よくあることですよ。
そして、半年経つと、そういう人がある程度溜まります。

で、どうするか。
コンテストの直前まで大事に取っておいて、そこで電話をするんですね。
クロージングせず、電話もかけずに放置しておいた方々は、電話をすると、いきなり向うから謝って来るものです。
「いや~、すみません! 連絡しなきゃいけなかったのに。お電話いただいちゃって」って。

こうなれば、後は簡単ですよ。

「いやいや、こちらこそすみません。連絡するのも失礼かなと思って・・・」
「ホント、申し訳ない。・・・で、どうすればイイですか?」
「もう全部済んでますので、申込書類を持ってお伺いしますよ。・・・来週以降はもう予定がかなり入っちゃってるので・・・明日か明後日の夜7時でいかがですか?」
「来ていただけるんですか? すみませんね~。すっかりお待たせしちゃったので、早い方がイイから、明日にしましょうか。よろしくお願いします。」

こうして、コンテストに入賞するぐらいの契約の予定が、スタート前に決まってしまいます。

これを、双方がイヤな「クロージング」という作業をしたら・・・。
何度も電話をして、嫌がられて、ついには居留守を使われるようになっちゃったら・・・絶対に契約になんかなりませんよ。
突つかず、イジらず、大事に生簀で育てているからこそ、「すみません!」「どうすればイイですか?」「すぐにやります!」と言っていただけるのです。

あって当然だと思ってしまいがちな「クロージング」ですが、自分の頭で素直に考えれば、本来は「あってはならないもの」だとすぐにわかります。

そうした「考える姿勢」、そして「正しく考えるための理論を学ぶこと」こそが大切なのです。

<追伸>
この本は「クロージングの心理技術21」という本で、生保セールスにものすごく役に立つ本ですが(セミナーのレジュメにも数ヶ所引用されてます)、こうした理論的に正しい本に書かれている「クロージング」という言葉は、日本のセールス業界、特に生保セールス業界で言うところの「クロージング」とは意味が違います。

生保セールス業界が教える「クロージング」は、「プレゼンテーションの後の『早く入って下さい』という勧誘作業」を指しますが、正しいビジネス書においては、「クロージング」とは、セールスが始まってから終わるまでの全期間を通じた「成約につなげる行為」を指しています。念のため。