日曜日に、地区の子ども相撲大会がありました。
朝の8時半集合・・・
私にとっては、非日常的な時間です。
起きたら15分前!
幸い、作務衣を着て寝ていたので、起き抜けの姿で、顔も洗わず自転車に乗って駆け付けました。
この催しは、かなり以前から開催されていましたが、でも、私が20歳以降からだということは確かです。
私の同級生の「ブーちゃん」という男が土建屋になり、そこで造った土俵だから。
ちなみに、ブーちゃんは双子で、さらにお姉ちゃんがいます。
このお姉ちゃんが、まさにサリーちゃんの「よしこちゃん」で、しかも双子が3つ子と同じ顔をしている!
・・・って言っても、若い人にはわかんね~か。
当時、FacebookやYouTubeがあったら、絶対に誰かが投稿して、ものすごい数の「いいね!」を獲得したと思います。
話を戻しましょうね。
私は会場設営と、「幼稚園年長」の審判の係でした。
いや~、面白かったな~。
幼稚園年少の戦いは、来賓席の後ろに座って見てたけど、ホント、楽しかったです。
全部書くとキリがないので、面白かったことを箇条書きで書きます。
●幼稚園年少だと、土俵がやたらと広い。だから、逃げ回れるし、すぐに双方が疲れちゃうから、勝負が決まるのにものすごく時間が掛かる場合が多い。
だから、親も観客もかなり楽しめる。
●当然、泣いてしまう子、続出! 負けて泣く、転がされて泣く・・・。
中には、「はっけよい」って主審に言われて、気合が入った相手の顔を見て泣き出し、「ママ~」と逃げてしまった子もいた。会場内、爆笑!
●父ちゃんから「相撲が強くなる体操だ」と四股を教わったんだろうな~。なかなか決着が付かなくて、必死にその言葉を思い出して、取り組みの途中で四股を踏んで、片足を上げた途端に突き飛ばされて負けた子がいた。これまた大爆笑!
●勝った後の喜び方が半端じゃない。こっちもものすごく嬉しくなる。
とまあ、こんな風景でした。
で、いよいよ幼稚園年中の試合開始です。
私は西の審判席に着席します。
すぐ後ろには、西から登場する子供と、親たちがいます。
もちろん、会話がモロに聞こえてきます。
子供が戦っている時の、親の必死の声援も、よ~く聞こえます。
で、当然、父ちゃんもたくさん来ていて、子供に作戦を与えるんですよ。
作戦って言ったって、幼稚園児ですから、難しいことはできません。
「頭でガ~ンってぶつかって(これが子供にはできない)、思いっきり押すんだぞ」ぐらい。
でも、子供はそれを、ものすごく真剣な顔だったり、不安な顔だったりで聞いている・・・
それを見て・・・私も息子の父親ですからね、息子が小さい頃の、喜んだ顔や泣いた顔・・・色々な表情を一瞬にして思い出しました。
そうしたら・・・ヤバいです、もう、泣きそうです。
そして、勝って大歓喜だったり、負けて半ベソだったりで、父ちゃんの元に帰って来る。
勝った子の父ちゃんは、これまた子どもみたいに大歓喜だし、負けた子の父ちゃんは、「えらいえらい! よく頑張った。強くなったな~」なんて言うと、子供がそこで泣いちゃう・・・それを見て、大抵の父ちゃんも涙ぐんじゃう。
それを見ている私も、涙をこらえるのに必死です。
父親と母親の反応は、明らかに違いましたね。
母親は、勝っても負けても心から楽しんでる。
でも、父親は・・・自分が小さかった頃のことを思い出して、大抵が泣きそうになっているのです。
男は、友達の結婚式に参列して泣く女性の気持ちが全~然わからないのですが、ママも、子供の相撲大会で泣くパパの気持ちは、分からないでしょうね。
そして・・・準決勝あたりになると、みんな結構強いんですよ。
明らかに、家で父ちゃんと何十番も稽古して臨んだのがわかります。
まわし(体操着だけど)をしっかりつかむし、相手を横に動かすし、中には巻き替えた子もいました。
もちろん、自分の子じゃなくても、場内大興奮!
なかなか決着が付かないから、間近で見ている私も、思わず力が入っちゃうほどです。
で、準決勝に出た子の父ちゃんが、例によって子供に作戦を授けていました。
父ちゃんの声が、ものすごく真剣です。
子供の顔も・・・これまたものすごく真剣!
それを見て、また泣きそうになる三洞・・・
でも、その子・・・負けちゃいました。
大抵は押し出しで決まるのですが、力が拮抗していたので、決め手は珍しく「押し倒し」。
双方が組み合ったままで、結構な勢いでバタッと倒れましたが、頭を打ってはいないのははっきり見えましたから、双方に大拍手を送りました。
そこで・・・顔の半面が砂まみれになった子供が、倒れたまま、私の後ろにいる父親に顔を向けたのです。
無念そうな、悲しそうな表情で・・・
その瞬間、「ウッ、ウッ・・・」っていう押し殺した声がしたから、後ろを見れば・・・父ちゃんが顔を手で覆って、号泣しちゃってる!
父ちゃんはね、自分が小さかった頃のこと・・・喧嘩して取っ組み合って負けたことやら、お兄ちゃんに歯向かっても勝てなかったことやら、体の大きな子に突き飛ばされて転んだことやら、そういうことを一瞬で思い出して・・・自分とそっくりの顔をしたわが子の、砂まみれの顔を見て思い出して・・・たくさんの思いがこみ上げて来て、泣いちゃったんでしょうね、きっと。
周囲にいた母親たちも・・・同じ幼稚園の年長さんですから、知っているのでしょうね・・・父ちゃんの肩をパタパタ叩いて、笑いながら涙を流している奥さんを見て・・・みんなが泣き笑いです。
それを見て・・・三洞もついに、こらえきれずに感涙!
イイ歳こいたおっさんが泣いて笑われたって・・・大満足ですよ!
・・・実は、今も追い出して泣いちゃってます。
いや~、自治会長になって、クダラネ~会合に出さされるばかりで辟易していましたが、初めて「良い催し」に参加することができました。
これなら、会長の任期が終わっても、毎年見に来たいと思いました。
でね、帰り道、自転車を漕ぎながら思ったのですよ。
ああいう子どもの純粋さや、親の感情を何時間も間近で感じていると、アホな会社の「使命だ」「愛だ」なんてのは、本当に腐り果てているし、薄っぺらなニセモノでしかないって・・・そりゃ、痛切に感じますよ。感じざるを得ません。
そうじゃなくて、あの子どもたちや親たちみたいに、大歓喜したり、涙を流して悔しがったり、でも、負けても素晴らしい思い出で、「来年もやるか?」って聞かれたら、目を輝かせて「やるっ!」って言える・・・そういうビジネスをしなかったら、生保セールスになった甲斐はないじゃないかっ! だって、生保セールスは、それができるんだから!・・・と、つくづく思った次第なのです。
だから私は、そういうビジネスを構築するための理論を、今後も声高に叫んで行こう・・・心底そう思えた、素晴らしい1日でした。