ラーメン売るなら、空腹な人に売れ

生命保険営業の本質!

 「売りたいなら、商品やサービスの機能を伝えるのではなく、使っているシーンを想像させろ」
 
 広告においてもセールスにおいても・・・マーケティングのどの段階であろうとも、「常識中の常識」の、理論とも呼べない「前提」みたいなもの。

 ・・・でも、あなた、こんな初歩的な段階で「やってはいけないこと」をやっちゃってるでしょ?
 「商品の機能」や「商品特性」や「保障」を語っちゃう・・・。
 
 「バカじゃね~の?」でしかありません。
 その証拠に、私を含めた「楽しく長く売り続けている人たち」は、ホント、商品や保障について「呆れるほどに一切語らない」ですからね。

 今日書きたいのはその先・・・ほんの少しだけ高いレベルの話なんだけど、この段階でほとんどの人が「落第!」だからね~。
 それじゃ、たまにしか売れませんよ。
 
 で、今日読んでいた本には、こう書いてありました。
 
 「マーケターの仕事は、商品の物理的な事実に基づいて、その商品から期待できる喜びを、読者の『心の目』の中に作り上げることだ」
 
 この一節、冒頭の「使っているシーンを想像させろ」と同じ意味ですよね。
 単なる「常識」。
 だから、今朝読み始めた本の、本論の最初に書かれている。
 
 そこで私が、一歩進めて、「真の顧客第一」に基づいた「正しい思考」の課程をお見せしようと思ったわけです。
 
 例えば、あなたがラーメンを売っているとします。
 「ラーメンが嫌い」という日本人はほとんどいないから、そこは無視してOK。
 その上で、あなたはどちらの人に「ラーメンいかがですか?」と声を掛けますか?
 
 A:たった今、とんこつ油ギトギトのラーメンを替え玉付きで食った人
 B:朝から何も食っていない人

 もちろんBですが・・・そんなくだらないことを言いたいワケじゃありません。
 
 「ラーメン、好きですか?」と聞かれたら、ほとんどの人が「好きです」と答える。
 でも、Aの人は、たとえラーメンマニアであっても、「でも、今は食いたくない。特にラーメンは」と答える。
 一方、Bの人は、たとえラーメンマニアであっても、「とにかく『何か』食わせてくれ、ラーメンじゃなくてもいいから」と答える。

 こういう「顧客心理」について深く思考することが私たちの仕事であり、「真の顧客第一」なのです。
 
 上記の状況を、真の顧客第一の姿勢で考察すると、2つの「事実」が明らかになります。
 
(1)ラーメンマニアであっても、状況によっては、「ラーメンだけはイヤ」という気持ちになる。

(2)ラーメンマニアであっても、状況によっては、「ラーメンじゃなくてもいい」という気持ちになる。

 この思考過程を、真の顧客第一の姿勢で、生保セールスに置き換えて考えることが「あなたの仕事」ですよ!
 
 まず、「ラーメンが嫌いな日本人はほとんどいない」という前提条件がある。
 生保セールスの場合だと、この前提条件が「生命保険が好きな日本人はほとんどいない」になる。
 だから、ラーメンを売る場合には、ターゲットを選ばず、無作為に「ラーメンいかがですか?」と声を掛けても、そこそこは売れる。
 でも、生命保険の場合は、無作為に「保険の話を聞いていただけませんか?」と声を掛けても、ほとんど売れない。
 
 つまりは「保険の話」「保障の話」では「果てしなく売れない」・・・という、ごくごく当然の結論に至らなければならないのですよ。
 
 そして、次に考えるべきは「人は、状況次第で、その商品が欲しくなったり、『その商品だけはイヤ』になったり、『何でもいいからすぐに使えるもの』になったりする」ということ。
 
 で、「どういう状況の人が、生命保険を欲しくなるのか?」と、真の顧客第一の姿勢で、既成概念を取り払って考えると・・・こんな結論が導き出されるのです。
 
【生命保険が欲しくなる状況】

(1)死ぬ寸前
(2)余命宣告を受けた時
(3)「入院して下さい」「手術を受けないと死にます」と言われた時
(4)真剣に自殺を考えている時
(5)働けなくなってしまった時

 こうした状況下においては、生命保険に対する「ウォンツ」(ニーズではない!)が高まり、非常に売りやすいのですが・・・こういう人には、残念ながら売れません。

 つまり、会社が教える「生命保険の機能を語れ」「商品を語れ」「保障の必要性を語れ」という手法では、上記のような状況下の人しか「欲しい」とは思わないのです。

 ・・・果てしなく売れね~に決まってるじゃん、バ~カ!


 生命保険を売りたいのなら、あなたが顧客に、「今、他の食い物じゃなくて、ラーメンが食いたいんだよ」と思わせなければなりません。
 そもそも、生命保険という商品は、唯一「使っているシーンを想像したくない」もの。
 想像させちゃったら、購買心理学的に『売れなくなる』商品なのです。
 だからこそ、商品や保障を売ろうとしたら、売れないのです。

 
 どうやって顧客に「今、あなたの話が聞きたいんだよ!」と思わせるのか・・・そのためには、正しいマーケティング理論と、理論に沿ったワークが必要になります。
 
 果てしなく売れない世界に留まるのか、それともまったく新しい世界に移り住むのか・・・その選択と行動こそが、楽しく長く売り続けるためには必要なのです。