「活動量」の罪

あなたを売れなくする「間違った教え」

「断られてもくじけるな」「大数の法則」といった言い方は、明らかに弊害しかもたらさない、「あなたを廃業に導く、悪魔の言葉」です。
かなり罪深い言葉ですよ。

だって、「断られるのが前提」で、「ド素人のままでイイ」って言ってるのと同じですから。
プロ野球選手に「打てなくてもイイ」って言ってるのと同じですよ。
打てなかったら打席に立たせてもらえません。必然的に廃業です。

これに比べたら「活動量」や「足を使え」といった言葉は罪が軽い。
なぜなら、中身が何もない、単なる「掛け声」だから。
運動会で走る子供に「がんばれ~!」と応援するようなものですが、こちらが微笑ましいのに対して、ギスギス感があるだけのこと。

でもね、私ははっきりと「間違いだ!」って言ってます。
なぜなら、大いなる誤解を生む可能性・・・つまりは「売れない方向に進んじゃう可能性」を秘めているから。

これについては、「お客様第一」も「身だしなみ」も同様です。
言葉自体は間違っているはずもないけど、売れない方向に進んじゃう可能性があるから、それをなくすために「間違い!」「理論とは真逆」と言い切っているのです。

で、今朝読了した、マイケル・マスターソン「大富豪の仕事術」には、こんなことが書いてありました。

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 ゴールを目指す私たちに毎日割り当てられている時間は、みな同じである。金持ちだろうと有名人であろうと、1日は24時間と決まっている。
 この時間をどう使うかによって、成功できるかどうかが決まってしまう。
 ここでは、生産性を最大限に伸ばす時間配分法について、最もよく聞かれる2つの質問を取り上げることにしよう。

1、合計何時間働けばよいか?
2、その時間内にどんな活動に取り組めばよいか?

 特に私は、行動する時間よりも「計画と準備にかける時間」に興味を持つようになった。

 ~~ ~~ ~~
 
凄いものです。
こんな短くて平明な文章の中に、私がセミナーで喋る最重要ポイントが4つも詰まっています。

まずは「生産性」ですよ。
「売り上げを増やしたい」・・・私たちが等しく持つ願望です。
では、売り上げを増やすためにはどうすればイイのか?

・・・「活動量だ!」・・・って、一つ覚えで言うワケですよ。
でも、これ、何の答えにも、解決法にもなっていませんから。

「活動量」を増やすには、

●仕事時間を増やす

(例)土日祝日も休まない、家族との時間や趣味に掛ける時間は持たない、休憩しない、寝ない・・・

●移動速度を上げる

(例)歩かず、常に全力疾走する、法規制や交通ルールを無視して車での移動時間を短縮する、よく利用する駅付近に自転車を配備しておく・・・

この2つの方法しかないです。
ナンセンスです。

そう、売り上げを増やすには、生産性、つまりは「時間あたり売上」を増やすしかないのですよ。
同じ仕事時間、同じ工数・・・イコール「同じ活動量」で、契約件数あるいは保険料を倍にするしかないのです。

つまりは「売上が変わらないなら、活動量を減らす努力をすることが必要。その努力によってのみ、売上を増やすことができる」・・・これ、他の「フツーの業界」だったら、当たり前のことですよ。

だから「活動量」いう言葉は「誤解を生む」「真逆の」「あなたを売れなくする言葉」だと、私は強く言っているのです。


で、他の「フツーの業界」だと、「○○あたり○○」という指標があって、その数値の改善が「利益アップ」に直結します。
それを管理・指導・改善する人を「マネージャー」と呼びます。

私たちの場合、「原価あたり」「人工あたり」「店舗あたり」といった指標は全然関係ないから(会社にはあるけど)、唯一あるのは「時間あたり生産性」なのです。
「工数あたり」もあるけど、結局、工数が掛かれば時間も掛かっちゃうから、「時間あたり」の生産性を高めることしか、利益アップを図る方法はありません。

それを改善する(=売り上げを増やす)ことが、マネージャーさんの役目なワケですよ。
ところが、「何度も会え」「時間を掛けて喋れ」「たくさんの人と会え」「友好関係を作れ」・・・真逆でしょ?

そうした真逆の言葉を、まとめて表現する言葉が「活動量」ですよ。

だから私は、「活動量」なる言葉を否定するのです。
大いなる誤解を生み、さらには多くの人を廃業へと導く言葉でしかありません。

その証拠が、「活動量」なる言葉の横行するこの業界における、3年以内の廃業率「約9割!」なのです。