私がサラリーマンになって、マーケティングプランナーなる職種を与えられて・・・最初に担当したのが日産自動車でした。
当時の私は、既成概念がほとんどない「真摯でピュアなマーケティングプランナーの徒」でしたから・・・不思議で仕方がありませんでした。だって、日産自動車という会社は、「アホか!」としか思えないことばかりをやるんだもん。
「こんな会社が存続できるはずがない」と素直に思っていたので、上司と酒を飲んだ時にそれを言ったら・・・上司は、いきなり立ち上がって、私を指さして、ブルブル震えながら、火が出るほど怒りました。
「スポンサー様に対して、シ・・シ・・失礼だろ! 取り消せ! 謝れっ!」って。
私も、そこまで怒られるとは思っていなかったから少々驚きはしましたが、しかし、ピュアで正直な五十田くんは、落ち着いてこう言いました。
「マーケティングプランナーとして、そうとしか思えないから、そう言っただけですよ。部長はそうは思わないんですか?」って。
その後、日産自動車は、ホンダに抜かれて業界3位の会社になり、業績はどんどん落ち込み、ついにはフランスの会社に買い取られてしまいました。
フランスなんてね、自力で戦争に勝ったことが1回もない、世界一ダメな国ですよ。今でも後進的農業国です。そんな国の会社に買い取られるなんてのは・・・まさに国辱ものですよ!
こうして、私が予言した通りの結果になったのですが、私を怒った上司も、景気が悪くなってリストラが始まった時には、ザマミロなことに、真っ先にリストラされました。
飛ばされた先が「日産サッカー部広報」だったので・・・まあ、彼にとっては本望だったのかもしれません。
その後、バブルが崩壊し、山一証券を筆頭に「誰でも知っている大会社」が株式欄から消えて行きましたが・・・その原因の多くは「自分の会社のやっていることを認識できていなかった」から。
例えば、自動車メーカーなら、「車を作ること」が仕事であるのは当然ですが・・・ものすご~く単純化した話をすると、作ることよりも、売ることの方がはるかに大事なのです。だって、自社製造の車がなくても、他社が作った車を売ることができれば、利益は出るからね。
さらに、消費者の立場で考えると、「金属とプラスチックと繊維でできた、ガソリンを入れると動く装置」を買うわけではありません。「移動手段」「事業用の道具」「生活必需品」「レクリエーションツール」「自己満足」「趣味」「節税」など、さまざまな目的のために「自動車」を買うのです。
自動車メーカーは、そのためのツールを提供している会社であり、その上で、「トヨタではなく、ホンダではなく、メルセデスではなく、日産!」と消費者に言わせるためには、「何を提供している会社なのか」を自身がはっきりわかっていなければなりません。
それが明確でない場合には、どんな大きな会社でも世の中から消えてしまうのです。
宝石なんて、石ですよ。なぜ高額のお金を払って宝石を買うの? ダイヤモンドの「デビアス」という会社は、石を掘って削って売っている会社なの?
オークションに出るような最高級スコッチや、年代モノのワインじゃなくても、自動販売機で買ったワンカップだって、酔っ払うことはできますよ。
家の風呂だって、スパリゾートだって、銭湯だって、無名な温泉だって、有名高級旅館の風呂だって、ローマの大浴場だって、全部「温泉」ですよ。
誰から買っても、保険は保険ですよ。あなたから買う意味って、どこにあるの?
それがわからなかったら、顧客から見た「あなたの存在価値」はないのです。
「自分が提供するもの」「顧客から見た、あなたの価値」が見えていなかったら、事業は成り立ちません。
「保険商品を売る」「保障を売る」などというレベルではビジネスは成立しないし、ましてや使命だの愛だのなんてことを言い始めたら、それは、頭のおかしい宗教と同じなのです。
私はいつも、自分の仕事を「ストレスを軽減し、その分、幸せの量を増やすこと」だと思っています。セミナーはもちろん、保険のコンサルも、企業のコンサルも、お店の経営も、書も、執筆活動も、ギター演奏も同じです。
そして、私の仕事は「三洞」です。五十田敏という男が、三洞を演じ、出会った人のストレスを軽減する・・・これが私の仕事です。
で・・・あなたの仕事、何ですか?
答えられるようになる前に、意味もなく外出するのは、バブル崩壊で消え去った企業と同じ運命をたどりますよ。
それは「自殺行為」と呼べるほどの愚行なのです。