セミナーでは、「プレゼンテーションは『偉大なるワンパターン』でなければならない」と言っています。
ワンパターンとは言っても、見直し提案と貯蓄売りでは違いますが、でも、個人に保険を売る場合は、「見直し提案(=フルコンサル。終身と定期と医療を売る)」か「貯蓄売り」かの2パターンしかありませんからね。
15秒のアプローチトークは7つ提示していますが、今でも普通に使えるのは4つだけです。
つまり、喋っている「内容」のバリエーションは、ごくわずかしかないってこと。
でも、喋る「状況」は千差万別ですよね。
きちんとアポを取って喋る場合は、状況も予測できるし、喋る内容もあらかじめ決められます。
でも、それ以上に、私たちは、「何気ない会話」をしている時間の方がはるかに多いし、アポイントありきの面談よりも、アポなしの偶然の会話の機会の方が、はるかに多いのです。
そこで、相手をセールスのステージに引っ張りこめるかどうか・・・それがプロの手腕なのですよ。
かつてジョニーちゃんは、その「色々な状況」を「100パターンぐらいあるんですけどね・・・」と表現したけれども・・・きちんとパターン認識できているから、対応できるのです。
相手はもちろんのこと、場の状況や雰囲気に応じて、どんな言葉を出せば「嫌われないのか」を、完全に顧客の気持ちになって、感じようとする・・・この訓練を、私はいつも行っていました。
今でも、気付くと頭の中でシャドーロープレしてますからね。
だから、「今だ!」と感じた時には、ごく自然な会話のような「アプローチトーク」を発することができるのです。
私、落語が好きだから「日本の話芸」というタイトルのテレビ番組を見ることがありますが・・・私たちもプロなのですから、私たちのトークは、まさに「話芸」のレベルでなければなりません。
もちろん、英文和訳の日本語ではない、日本人に合った「日本の話芸」です。
私、実際に「話芸」をやって見せたことがありますよ。紳ちゃんという青年に対して。
その日、ソニー生命の後輩と紳ちゃんが店に来ていました。紳ちゃんを後輩に紹介してあげたのに、後輩は紳ちゃんに保険を売れなくて・・・その報告に、2人でやって来たのです。
後輩は、「せっかく紹介いただいたのに・・・すみません」。
紳ちゃんは「協力できなくて、申し訳ないです」。
そんな2人を前に、私、こう言いました。
「いやいや、協力なんかする必要はないんだからね。こいつが売れなかっただけなんだから。だから紳ちゃん、俺にも一切協力なんかしないでね。その上で、俺、今、紳ちゃんに売って見せようか? セールス、されてみる?」
紳ちゃんの答えはこうでした。
「え~っ、ちょっと怖いな~。でもまあ、三洞さんなら・・・イイですよ、お願いします」
「よし。じゃあ、セールス、するよ。・・・あのね、紳ちゃんさ~・・・」
約1分後、私が「やる?」と聞いたら・・・紳ちゃんは「やります」と言いました。
「入ります」ではありません。それもはっきりと覚えています。
だから、「いくらやる?」と聞いたら「う~ん、1万円?」と言ったから、「そんなんじゃ足んないよ。3万にしなよ」
そうしたら紳ちゃんは、「あ、はい。わかりました」と言いました。
設計書も何もありません。でも、契約です。
脇で見ていた後輩は・・・そりゃ、驚きますよ。
「芸術的ですね! 名人芸ですね!」と言ったから、「当たり前だろ! 俺たちのトークってのは、説明じゃなくて、話芸なんだよ!」と言いました。
ほとんどの人のトークは、ド素人レベルなのです。
優秀な受講生と喋っていてさえ、いつも感じます。
私たちはプロです。状況に合わせて、言葉を即座に変えることができなければなりません。
速球にも変化球にも、内角にも外角にも対応できるように、脳と体が反射的に動くから、プロとして食って行けるのです。
それができるようになって、「話芸」のレベルにならないと、食っては行けませんからね。
会社で教わったトーク?
そんなもん、爪楊枝でコンクリートに穴を開けようとしているようなものですよ!