「売れるトーク」の本質

三洞LIVE〜楽しく売ろうよ!

 さて。

 3日ほど前に、いつもの飲み屋で飲んでいた時に、なぜか起業の話になったのよ。

 ……ああ、思い出した。
 近所の元気な小僧がいて、「給料上がらん!」のようなことを言ったから、「他人から貰ってたら上がらんよ。自分でやっちゃえよ」とにこやかに言ったのよ。

 オレ、上からの物言いはしないからね。

 ……なんて書くと、受講生は、「え〜〜〜っ!」「セミナーで言ってることと逆じゃん!」なんて思うのだろうけど、ビジネスの場ではない時に、相手が若いからといって「教えてあげよう」のような気持ちで話をすることは、まず絶対にないですね。

 「疲れた」「忙しい」という言葉と同様、大嫌いだから口から出なくなっているし、大嫌いだからそういうことはやらない自信があります。
 ただ、一緒に飲んでいる仲間として、自分が思ったことを笑って口にするだけ。

 だから、20も30も歳下の子たちが、「五十田さんも来て下さいよ〜」と飲み会に呼んでくれんだろうね〜。
 いつもいつも説教くさい物言いをするようなおっさんだったら、絶対に呼んでもらえないに決まっているからね。

 で、それを言ったら起業の話になった。
 話はお決まりの「でも、やるとなったらビビる」「自信がない」「怖い」のような方向に行きますよ。
 そういう時も私は、さらに突っ込んで具体的な話をしようとはしません。
 だって、興味がない人にとってはつまらない話になっちゃからね。

 「ビビる」とか「怖い」レベルで話をしていると、起業なんて全〜然考えていない、ウチのトシくんと同い年くらいの女の子でも、それを言っている青年に同調して楽しそうに話をしていますよ。
 でも、そこでオレがイイ気になって、

 「まずマーケティングを勉強して……」とか
 「事業計画書があれば……」とか
 「資金調達は県の起業支援制度を使って……」なんて言い出したら

 ……一気につまらない場になっちゃうもんね。
 ダントツ最年長のオレが喋っていたら、無視するワケにも行かないし。

 でも、そういうことを喜んでやっちゃうおっさんが多いから、「オヤジはウザいから嫌い」なんて言われちゃう(笑)。
 実際、ウザいのだから仕方ないよな〜。

 〜 〜 〜 〜 〜 〜

 私は、飲み屋での何気ない会話から保険を売ったことは、数えきれないほどあるけれども、この辺の「呼吸」については、常に頭の中でシャドーロープレを楽しく繰り返していたからな〜。

 だから売れたんだけど……例えば4〜5人でランチをしている場で、誰かがあなたに「あの〜、保険って……」のような話をして来たとするよね。
 そこで、マーケティングを知らず、理論(購買心理学)を知らず、練習(シャドーロープレ)もできていないほとんどの生保セールスは、瞬時に「キタ〜!!!」というマインドになってしまう……。
 せっかく素人が聞いて来てくれたのに、プロであるあなたがテンパっちゃっているのよ。

 シャドーロープレ……「相手がどう感じているのかを、ありありと感じようとして頭の中で行うロープレ」を繰り返していると、「そんな状態になったら終了〜!」ということはすぐに分かるのよ。
 そうしたマインドは、成約率をほぼゼロにする……。
 こういうことは、今はニューロ(脳科学)マーケティングの世界で、ちゃんと実証・数値化されているのです。

 で、「キタ〜!」になって……その場で「何を言おうか?」と必死になって考えちゃうワケですよ。
 もう、単なるド素人。
 舞台に立っているのに、上がりまくって、その場でネタを探している芸人……なんて、食えるはずがないよね。
 哀れなほどに、悲しいほどに単なるド素人なのよ。

 そして、必死になって……

 「まずは現状の契約状態を確認して……」とか
 「ライフシミュレーションをすれば……」とか
 「最初にご意向をお聞かせいただいて……」なんて言い出したら

 説教オヤジ以上に、瞬時に嫌われるのです。
 もはやランチ会にも飲み会にも絶対に呼んでもらえません。
 ……廃業です。
 でも、ド素人レベルなのだから当然です。

 〜 〜 〜 〜 〜 〜

 私だったら、そんな言葉は死んでも口にしませんよ。
 だって、保険、売りたいもん。
 そして、相手から聞いてくれたら、絶対に売る自信があるもん。

 で、私だったらどう言うか?
 聞きたいよね。

 でも、答えられない。
 なぜなら、状況(雰囲気)と相手によるから。

 予定されているアポの場でなら、状況も相手も関係ないですよ。
 鉄板のワンパターントークしかしない。
 状況や相手を考慮するなんてのも、これも単なるド素人の仕事。
 即時廃業です。

 ただし、何気ない会話の場なら話は別。
 その上で、常に頭の中でシャドーロープレを繰り返しているから、その中のどれかが自然に出てくる。
 プロの芸人さんが「あのネタをやろう」と思うのと同じ。
 頭の中で練習を繰り返した「芸」を見せるだけ。

 しかもこれ……雰囲気というか、言葉のニュアンスとか口調とかがものすご〜く大事だから、ここに「書け」って言われても無理なのよ。伝わらないし。

 でも、それを生で聞いた受講生は言うんだよね〜。
 「そうか!」
 「なるほど!」
 「名人芸ですね〜」。

 で、そう言われたオレは、こう言う。
 「普通の会話にしか聞こえないだろ? そうじゃなかったら売れないのよ。


 このレベルが「こっち側」のプロレベルのお話。
 あなたも早く「こっち側」に来てね。
 待ってます。