質問されたら「失敗」!

生命保険営業の本質!

 私、生保セールスの仕事に就く前は、広告代理店のマーケティングプランナーでした。

 マーケティングプランナーは、プラン作成が仕事ですが、もう一つ重要な仕事があって、それは「プレゼンテーション」なのです。

 広告屋時代のプレゼンテーション・・・厳しかったですよ~。

 まず、競合が常に電通や博報堂といった大手であること。
 私、順番に言うと、日産、NEC、JT、郵政省、NTT、NTTドコモ・・と担当しましたから、いつも大手と競わなければなりません。
 そうすると、同等レベルのプレゼンテーションだと、勝ち目が一気に低くなっちゃう。
 だから、ほんの少しでもイイから、競合他社よりも印象に残るプレゼンテーションをしなければ!・・という状況にさらされていました。

 そしてもう一つ。
 上記のような会社って、官僚主義的で封建的なんですよ。
 ・・郵政省なんてまさにそのままだし、元公社も3つある。
 こういう会社のプレゼンテーションは、聞いている人が何人いようと、決定権を持っているのはたった一人。「その場で最も偉い人」なのです。
 その人が右って言えば、みんな「おっしゃる通り!」になっちゃう。

 で、決定権を持っている人って、大抵が東大卒なんですよね。
 東大卒でちゃんと出世してるってことは、頭脳明晰かつ仕事もできるワケです。
 そして、当然のことながら、私なんかの何百倍も、業界のことについてよく知っているワケですよ。
 こっちは、担当になったから付け焼き場で勉強した30歳そこそこの若僧、向こうはその道一筋30年の大ベテランですからね。

 こうした状況だと、「質問されたらアウト!」なんですよ。

 もう一回言いますよ。
 「質問されたらアウト!」なのです。

 だって、質問されてしまったら、私には答えられないもん。

 だから「絶対に質問されないぞ!」のスクリプトと練習が必要でした。
 言葉が足りなくても、言い過ぎてもダメ。

 特に言い過ぎは禁物で、「なるほど、こいつの案、わかりやすいし、面白いジャン」の、丁度イイところで無事に着地させるようなプレゼンテーションが必要だったのです。


 そういうレベルのプレゼンテーションをやってましたから、生保セールスになって、プレゼンテーションの研修を受けた時は、「楽勝じゃん!」でした。

 だって、こっちはプロで、相手は素人ですからね。
 広告屋時代とは真逆ですから。
 研修をしてくれた所長さんも「いっそっだっさん、さっすが、プロですねっ」(こういう口調だった)と言ってくれました。
 「これだけで何とか食って行ける!」ってメドも立ったので、とっても嬉しくなりましたよ(「強みを生かす」は、マーケティングの鉄則です)。


 だからね、素人であるお客様から、質問なんかされちゃったら、そのプレゼンテーションは「失敗」なんですよ。
 質問されちゃうプレゼンテーションは、素人レベルであって、プロのレベルじゃないってことです。
 スクリプトが素人レベルなのです。

 あなたもそう認識しないといけませんよ。
 私、ごくごく最初の頃(ほんの2~3ヶ月)は質問されちゃいましたが、「それは失敗」って認識してたから、すぐに一切質問されなくなりました。


 さて、あなた、質問されちゃってません?
 もしされちゃってるのなら、それはスクリプトが甘すぎるのです。
 まさか「スクリプトなんてない」ってことはないでしょうね?
 それ、ビジネスの放棄ですから。ナメちゃいけませんよ。

 ちなみに。

 別の記事で「喋りは短く、文章は長く」って書きましたけど、質問についても真逆になるんですね~。
 文章でプレゼンテーションした場合は、質問がたくさん来るほど、成約率が上がるのです。面白いでしょ?
 もちろん、これにもちゃんとした「理論にそった理由」があるのですが、それを書いちゃうと完全に文字数オーバーになるので、いずれまた。


<「質問されないプレゼンテーション」構築のために>

「図解 モノを売る!プレゼンの極意」五十田三洞

「クロージングの心理技術21」 ドルー・エリック・ホイットマン