売るための技術

生命保険営業の本質!

 ソニー生命に入った時に、セールスマニュアルのあまりのヒドさに愕然としましたが、最初に「ダメダコリャ」と感じたのは、「クロージング」という言葉が出て来た時でした。

 正しく言うと、プレゼンテーションの後にクロージングというステップがある・・こんなの、見た瞬間「アホか!」なんですよ。

 営業経験ゼロだったから、余計にピュアにそう思いました。
 売り手・買い手双方がイヤなことを、セールスのステージに持ち込んだらダメに決まっています。
 それは、テクニック以前の、ビジネスの基本の話。

 だから、この本が送られてきた時には、しばらく読まずに放置していました。

「クロージングの心理技術21」ドルー・エリック・ホイットマン

 でも、読んだら「なぜすぐに読まなかったのだ!」でした・・ということは、以前にも書いたと思います。

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 ・・なぜ彼らは、来る日も来る日も。同じような古くさい顧客探しのやり方を、同じような古くさくてうんざりなセールストークを、同じような古くさいセールスのまとめ方(クロージング)をするのだろう。(中略)

 セールスパーソンのほとんどは昔ながらの無味乾燥な手法しか使っていない。
 いわく「自分が話すよりも相手の話を聞く」「相手の関心事を察知し、それを話題にする」「まず世間話をし、売り込みに移るのはその後」「明るく感じのいい態度を保つ」「服装に注意を払う」・・・
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 これ、ごくごく冒頭の方に出て来る文章ですが、もうホント、笑っちゃうほど気持ちイイです。
 あなた、古臭くてうんざりなやり方、しちゃってません?
 会社が教えること、まさに古くさくてうんざりだって、思いません?

 一応書いておきますが、この本で言っている「クロージング」とは、プレゼンテーションの後の「効果なきオススメのステップ」ではなく、売るためのセールストーク全般を言っています。


 で、今日、この本を題材に書こうと思ったのは、一部をマ二フェストに引用していて手元にあったからですが、ジョニーちゃんのFacebookの書き込みを見て、ふとインスピレーションが湧いたから。

 以前にジョニーちゃんと、セールスプロセスの話をしたことがあります。
 その時にジョニーちゃんは「三洞さんはプレゼンテーション命でしょうが、オレはアプローチ命です!」って言ったのです。

 ・・ちょっと話がそれますが、ちゃんと売れている人は、自分に合ったセールスプロセスをちゃんと構築していますよ。「古臭くてうんざり」の手法をそのままやるなんてことは、しないのです。


 話を戻して。

 で、その時、質問したんです。
 「ジョニーちゃんさ、ああいうウワ~って感じの大宴会みたいな場で、どうやって保険の話を切り出すの?」って。
 ジョニーちゃんのブログやFacebookには、毎晩のようにそんな写真がアップされていたから。

 そうしたらジョニーちゃん、即座にこう言いました。
 「100パターンぐらいあるんですけどね・・」

 「売れてる人は、ホント、考えている」と、ちょっと前に書きましたし、「私も常に頭の中で喋ってた」とも書きました。
 即座に「100パターンぐらい」っていう言葉が出るのは、頭の中できちんとパターン認識されてるってこと。
 そしてそれがテクニックとして現場で生かされてるから、売れるのです。

 この本のサブタイトルは「お客を決断させるセールスの科学」。
 私たちはプロですからね、「活動量」とか「頑張れ」とか「愛なのです」ではなくて、もっとはるかに科学的じゃないとダメなんですよ。
 セールスについての理論をしっかりと知っていて当然ですし、知らない人が売れないのも、これまた当然。

 理論を知った上で、科学的にパターン化すると、この本の著者は「21の技術に分類できる」と言っているのです。
 各章のタイトルだけ、書いてみますね。

1、予防接種
2、言葉で訴える
3、信頼性の転移
4、TTMのススメ
5、社会的証明
6、恐怖
7、手段と目的連鎖
8、キューに注目
9、新年を揺るがす
10、比較
11、好意
12、権威
13、返報性
14、一貫性
15、希少性
16、データより例
17、メッセージの整理
18、自我の変形
19、重複
20、欠点を表に出す
21、長さは力

 それぞれの中にも、やり方は、ちょっと考えただけでも10パターンぐらいは想像できる。そうなると、売るための技術は数百のレベルになる。
・・これが、プロの世界ですよ。

 このレベルの世界と、「プレゼンテーションの後はクロージングです」で終わっちゃう「古臭くてうんざりなんだよ」の世界の違いって・・恐ろしいでしょ?
 そんなトホホのレベルじゃ、食えなくて当たり前・・って思うでしょ?
 だって「売るための技術」が、ちょっとしかないんだから。
 「打つための技術」がない人が、プロ野球選手になれないのと同じです。


 売るための技術を身に付けるつけるには、正しい理論を学んで、考え続けるしかありません。
 「現場で覚える」「失敗して覚える」なんてのは、言葉としては通用しても、現実にはあり得ません。

 成功している人は、考えるから成功している。
 考えるためには、考えるためのソフト(=理論)が必要だということを、しっかりと認識して下さいね。