バレンタインデーの思い出

三洞の三洞らしき日々

 今朝、本を開いたら……いきなりこんな小見出しから始まりました。

 「女にモテないって、問題があるよ」。

 斎藤一人さんが言ってるのだからね。
 「そうなんだな〜」と思わざるを得ませんよ(笑)。


 私の部屋の、正面の壁のボードには、58歳の時に書いた「7年後(65歳になった時)のありたい姿」が貼ってあります。
 そこには、こう書かれています。

 「58歳時よりも、若く、カッコよく、モテている」。

 一人さんの本には、同じページに「カッコよく生きると気持ちいいんだよ」とも書いてあるから、実に正しい「ありたい姿」だということなのです!
 嬉しいよな〜。

 でも、青年の頃の私は……モテませんでした(笑)。
 いや、後年になって「モテなかったワケじゃなかったんだ!」ということに気付いたけれども、当時はモテないと思っていました。
 自分でそう思っているのだから、モテるはずがありません。

 原因はあるのよ。
 中学・高校の多感な6年間を、男ばっかしの中で過ごしたからね。
 女性と喋る機会が極端に少なかったから、大学に入っても、女性と面と向かうと緊張して話ができませんでした。
 いわゆる「会話」もできないような状態でした。
 サラリーマン時代も、似たようなものでしたよ。

 ところが……弟はとってもモテたんだよね〜。
 顔も性格も私とそっくりなのよ。
 でも、弟はとってもモテた。
 今でもモテオジです。
 会ったことがある人は「モテて当然だよな〜」と思うはずです。

 弟は、中学も高校も共学だったしね。
 中学3年の時は、生徒会の副会長で、朝礼の時に台上から掛け声を掛ける役をやっていたから、そりゃ後輩の女の子たちから「五十田先輩、カッコいい〜」って言われますよ。
 勉強もできて、不良たちとも仲が良い。
 モテないはずがありません。


 そんな弟だったから、中学3年のバレンタインデーの日には、家にどっさりとチョコレートを持って帰って来ました。
 一方、私はと言えば……高校3年です。
 大学受験のシーズンだから、学校は休みになっていました。

 もはや浪人は決定していたからね。
 親は「早稲田か慶應に行け」と言うけれども、そんなもん、全〜然合格できないことは明らかに分かっていました。
 だから、家で虚しく、ダラダラと過ごしていたのです。

 そんな私を見て、弟は「兄貴にもチョコレート、分けてあげるよ」と言って、たくさんのチョコレートをくれました。
 虚しいオレは、チョコレートをどんどん食って……その後、近所のラーメン屋でビールと餃子と味噌ラーメンを胃に入れて、帰って来てからちょっとだけ日本酒を飲んで、酔っ払って早々に寝てしまいました。

 そのまま翌朝を迎えて……なら問題はないのだけれども、そうはなりませんでした。
 チョコレートを食い過ぎたからだと思うのだけれども、真夜中に猛烈に気持ちが悪くなって目が覚めて、トイレに駆け込んで大ゲロを吐きました。

 目の前には、見た目はラーメン、色はチョコレート、香りは餃子の大ゲロ。
 涙を流しながら、それを間近に見ている……。


 それが、唯一のバレンターンデーの思い出です。
 「女にモテないって、問題があるよ」……一人さんの言葉は、ホント正しいですね(笑)。