マイナス金利で売るのは簡単

生命保険営業の本質!

 前回は「次回は日経新聞を読んで思ったことを書こうと思っているけど、読んでいて、つくづく思いました。
マーケティングを知らずに読んで、何かわかるの? 何かの役に立つの?って」で終了しました。

 数日経っても、ホント、そう思います。
 そもそも今朝気付いたんだけど、4日連続で日経を読んで、ネタになるかと思って破いて持ち帰ってきた紙面が、たったの3枚。
 そして、今見たら、2つは使えない・・・。

 「メルマガのネタ」=「見込み客に語りかけるネタ」ですよ。
 それが4日で1つしかないのだから・・・時間の無駄ですね。
 Google検索だったら、一発でイヤになるほど出てくるもん。
 だから、「そっち側」じゃ売れないのは当然で、「こっち側」が普通のビジネスなのです。

 そんな中、唯一の使えるネタは、「マイナス金利 家計は敗者」という記事でした。

 書き出しはこう。
 「それって本当に動くんですか?・・・京都大学で金融論を教える岩下直行教授は、最近の授業で学生が示す反応に戸惑いを隠せない」。

 どういうことかと言うと、今の学生は、生まれてからずっとゼロ金利で育ってきたから、「社会の変化に応じて、金利が変動する」と言われても、「それって、古い教科書に載っている話でしょ?」としか思えないんですって。

 私が社会人になった頃は、まだバブル崩壊前だったから、それから20年ぐらい経った時に、私と同年代の上場企業の課長さんが、「この不景気をみんなで乗り切ろう!」と朝礼で言ったら、「すみません、今って、不景気なんですか? みんながそう言うけど、ボクが子供の頃から変わらないから、不景気って言われてもわからないんですよ」と言われたそうです。

 こういうのが「既成概念」なのですよ。
 私なんかは既成概念を嫌悪しているから、「デフレ対応策」とか「マイナス金利」といった「事実」についての言葉に対しては何とも思わないけれども、「不景気」とか「今時の若い者」とか「ゆとり世代」とかいった概念的な言葉に対しては、聞いた瞬間に「そんなこと言ってるからダメなんだよ(=売れネ~んだよ)」と思ってしまいます。

 既成概念は、すべてのビジネスを売れない方向へと運ぶからね。
 でも、あなたの生保セールスビジネスって・・・他者から与えられた、悲しいほどにマイナスの作用しかもたらさない既成概念ばかりでできているんじゃないの?

 話を戻しましょう。
 この記事には、マイナス金利政策による「損得勘定」が載っていました。
 それによると・・・

 家計 損失615億円 利益460億円  差引▲155億円
 企業 損失105億円 利益4560億円 差引4455億円
 政府 損失631億円 利益6836億円 差引6205億円

 さすがアベノミクス。
 政府はたっぷりと儲かる一方、一般家庭は「一人負け状態」ですよ。
 これこそまさにアベ政治の分かりやすい「カタチ」です。
 「ミイラのカタチ」と一緒で、一般家計に損しかもたらさない(笑)。

 入院中の病室では、ウォーレン・バフェット「スノーボール」を読んで、その後、「ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則」「ユダヤの商法~世界を動かす」「資産ゼロから1億円を生み出す投資術」「はじめての人のJーREIT」という本を読んだから、お金や資産の話には敏感になっていたけど、言われてみれば、企業や政府は儲かるだろうな~ということが、記事を見て納得できました。

 一方、家計がマイナスになってしまうのも明らかで、その原因は、お金に余裕がない世帯ほど、すべての資産を銀行に預けてしまうから。
 記事に載っていたことだけど、金利2%で学生ローンを借りた場合、それが低金利だとしても、返すための金を0.01%のところに預けていたら、そりゃ、損をするのは当然ですよ。

 ただし、お金を持っている人は、企業や政府と同様、プラスになる。
 なぜなら、0.01%の金融商品に資産を預けるようなことはしないから。
 私も、銀行が「金を借りてくれ」と言うから、金利によっては即座に借りようと思っています。
 だって、それを保険商品に突っ込んじゃうだけで、利益が得られるかもしれないからね。

 ただし、最大手の保険会社のセールスレディから、「ウチの年金は業界最高の利回りなんですよ!」と言われて、102%などという「とんでもない低金利商品」を買っちゃったら・・・そりゃ大損しちゃいますけどね。
 あのね、一応、地獄社の人に言っておくけど、普通の会社はどこでも、200%を超える世界で話をしているのよ、今時は。
 102%が業界最高だなんて・・・まさに北朝鮮状態だよね。

 ということで、結論は難しい話でも何でもありません。
 「銀行にお金を預けておくと、一人負け状態の一員になって、生涯、お金に困ることになっちゃうんだよ? あなた、それでもイイの?」ということを伝えれば、貯蓄商品を売るのはカンタンだということなのです。

 25年前に、私が生保セールスの業界に入った頃は、一般家庭に向けて貯蓄商品を売ることは、今に比べるとはるかに少なかったのですよ。
 予定利率だって、今よりもはるかに高かった時代なのにね。
 金利や景気の話と同様、今の生保セールスの世界しか知らない人にはピンと来ないだろうけど、今時は、かつてよりも貯蓄売りがはるかに増えているし、売るのも簡単になっているのです。

 セミナーでは、「一瞬の話で貯蓄売りができないと、食って行くのは大変だよ」みたいなことを言うけれども、「家計一人負け」の実情を踏まえた上で、「見込み客の心を動かす一言」さえ言えれば、保険を売るのは簡単なのです。

 ただしあくまで「見込み客の心を動かす一言」ですよ。
 それが利率だったり、商品特性だったり・・・ってことはあり得ないということを知っていないと、結局は売れないんだけどね。

 ということで、日経なんぞを読むのは時間の無駄でしかないということぐらいは、お分かりいただけたと思います。