出不精の私が熱海に8泊しましたが、静岡って、かつては「テストマーケティング」の場所だったんですよ。
場所も日本の真ん中辺で気候も所得水準も中くらい。しかも人口が日本の人口の50分の1(だったと思う)で、新商品のテスト販売っていうと、静岡で行われたものなのです。
だから、静岡のコンビニとか自販機には、他県では見られないものが売っていることが、よくあった・・そうです。
実際、私も、JTを担当している時に、タバコの新商品を静岡でテスト販売したことがありましたしね。
今は、調査のやり方も調査費用も、かつてよりかなり楽で安価になっています。
理由は「ネットが使えるから」。
ネットを使えば、静岡に限定しなくても、いきなり全国で調査できちゃいますから。流通事情も当時とはかなり違うし。
で、私は静岡ではなく埼玉県さいたま市の在住ですが、以前、「さいたま市の住民にDMを送ったら・・」というシミュレーションをしたことがあります。
もちろん生命保険を売るためのDMです。
人口は約100万人。
もちろん全世帯に送ったら莫大な費用になっちゃうし、無駄だらけ。
そこで、以下のようにザックリと切って行きます。
①保険に入れる年齢・健康状態・所得の人 → 全体の半分
②その中で、私に嫌悪感を感じない人 → さらにその半分
③さらにその中で、私が嫌悪感を感じない人 → さらにその半分
これで、12万5千人。
この人たちに82円でDMを3回送ると、郵送費が3千万円を超えちゃうから、個人事業では無理な話。
それに、見込み客がいくらたくさん集まったって、私1人では到底対応し切れない。
だから、切り方がこの程度だと、まだまだ個人のビジネスとして現実的に成立するレベルには至っていない・・ということになります。
だから、さらに切る。
あと3回「さらにその半分」になるように切って、15,625人。
そこにDM送ると、費用は384万円。
これでようやく個人事業としては「実行可能なレベル」の数字に近付くワケです。
で、こんな計算は、静岡のテストマーケティングとは違って、100万を2で割って、2で割って・・を6回やっただけの単純作業。電卓使わなくたって、1分以内で終わっちゃう。
それでも抽出数は15,652で、費用は384万円。
反応率1%で、見込み客数156。ここに「係数」を掛けると、125世帯の契約。
1世帯平均の平均初年度手数料を、控えめに12万円で計算すると、丁度1500万円の収入。このプロモーション単体で、経費を引いても1000万は利益が残る。
同じようなプロモーションを年に2回やって2000万、3回やって3000万。
これを、あなたが現在行っている生保セールスビジネスと比較してみて下さい。
何を比較するのか?
①どっちがどれくらいデカいですか?
②どっちがどれくらい精度が高いですか?
初年度手数料で1500万円ってことは、3年目以降の人なら、ここに継続手数料とボーナスが入るから、2400万~2700万円ぐらいの年収・・ということになる(註1)。
「自分はそんなレベルじゃない。もっと売ってるよ」って人はバカにするかもしれませんが、この数字、業界においては「かなり成功しているレベル」だと思いませんか?
そして、とっても単純な「2で割る×6回」の作業ですが・・あなた、2で何回、割ってます?
どっちが精度、高いですか?
そもそもこういう計算、したことあります?
ボランティアでやってるんですか?
計算がなかったら、ビジネスとは呼べないんですが。
さて、記事タイトルの「売れない理由」です。
私の無料動画(1)「なぜ見込み客がみつからないのか・・2つの原因」は、
読者の方なら既に見ていただいていますよね。
売れない(=見込み客が見つからない)原因は、
●ターゲットが明確でない
●サービスメニューが明確ない
この2つなのです。
でね、上記の想定の「さいたま市に住んでいる人」というのは「私が行ける商圏」ということ。
でも、それだと広すぎるし、漠然とし過ぎていて、到底ビジネスにはならない。
だから、2で割って2で割っての単純作業を6回繰り返して、ようやく「個人レベルのビジネスとして実態が見えて来る状態」になるのです。
でも、それでも業界内においては「結構大成功しているレベル」の大きさのビジネスですよ。
「あなたが現在行っている生保セールスビジネスと比較して、どっちがどれくらいデカいですか?」って質問されたら、大抵の人は「私のビジネスはもっと小さいです」という答えになる。
それなのに!・・なんですよ。
私は「さいたま市に住んでいる人」からシミュレーションをスタートしたけど、ほとんどの人は「いや、さいたま市じゃなくたって、県内なら行くし、東京ももちろん行くし・・・関東圏だったら行きますよ」のビジネスをしている。
・・行くのはイイですよ(本当は良くないけど、百歩譲って)。
でもね「さいたま市に住んでいる人」だって、2で割る作業を6回やらないと、「ビジネスレベル」の思考・戦略・計画にはならないのです。
関東圏だったら、0.2を6回掛けるぐらいにターゲットを絞っていなかったら、精度が低すぎて、そもそもビジネスとは呼べません。
つまりは、ターゲット設定がなかったら、ビジネスのスタートは「絶対に!」切れないのですよ。
だから、93%の人が廃業しちゃうのです・・・。
以前、セミナーの受講生が「上司が『犬猫以外はみんな見込み客』って言った」と憤慨していましたが、そういう犬猫以下の知能の人間が指導者として金を貰っているから(そういうヤツに平気で金払ってる会社が大半だから)、ビジネスのスタートラインにすら立てずに辞めてしまう人が後を絶たないのです。
熱海に逗留中でも、日々、何らかの注文・申込がメールで入ります。
かつて、最も注文が多かったのは「生命保険 10の迷信」の冊子。
無料だから当然です。
一方、「図解 モノを売る!プレゼンの極意」(1080円)は、滅多に売れませんでした。
ところが、現在、最も注文が多いのは「図解 モノを売る!プレゼンの極意」。
一方「生命保険 10の迷信」は、無料なのに、たまにしか注文が来ません。
なぜこんな逆転現象が起きたのか、わかります?
答えは簡単。
かつては主婦がターゲットで、今は生保セールスがターゲットだから。
「図解 モノを売る!プレゼンの極意」を売ろうと思ったら、「生保セールスというターゲット」に向けて宣伝しないと、無駄ばっかりになっちゃう。
「さいたま市の人」みたいな「誰でも=ターゲット設定なし」では、ビジネスとは呼べませんし、ターゲットを間違っていたら、いくら「イイ本ですよ~」「役に立ちますよ~」って叫ぼうが、どんなに「購入者の声」や「推薦の言葉」を集めようが、売れはしないのです。
「誰でも見込み客になる可能性がある」
「その人たちすべてに『話を聞いて下さい』ってお願いする」
こんな愚劣極まりないレベルが、ビジネスであるはずがありません。
ビジネスではないのだから、利益が出るはずがありません。
「売れない理由」とは、こうした単純な、しかし明確で明白なことなのです。
(註1)初年度手数料がよくわからない、自分がいくら貰えるのかわからない、報酬の仕組みが複雑でよくわからない、採用や研修への出席などが報酬に反映される・・といった会社に勤務している場合、そもそもそれ自体がビジネスとは呼べません。ご注意下さい。